「せんべいが湿気る家」低気密低断熱住宅ルポ⑥

こんにちは。一級建築士の神長宏明です。私は、エアコンを24時間つけっぱなしでも月々の光熱費が1万円以下で済む高気密高断熱住宅を設計していますが、住んでいるのは【低気密低断熱住宅】です。この連載では、低気密低断熱住宅の住み心地を数回に分けてレポートしていきます。6回目は、身近なお菓子を使った湿気実験のレポートです。

神長家の概要
■家賃:約9万円/月(3,250万円のローンを組んだときと月の返済額は大体同じ)
■立地:宇都宮駅から車で15分
■築年数:築29年(1991年8月竣工)
■延べ床面積:125.44㎡(37.94坪)
■断熱性能:築年数と天井断熱材の状況から昭和55年基準と推定(昭和55年区域区分Ⅲ・栃木県・Q値4.7)。無断熱ではなく、断熱材は気持ち程度入っている状態

間取りは、一般的な玄関ホールを挟んで、LDKと和室に分かれている。2階の15帖の洋室は神長さんの仕事部屋として使っている

 

低気密低断熱住宅におすすめのお菓子

■せんべいで分かる家の湿気
2020年夏。マンションに住んでいたときよりもお菓子がすぐに湿気る気がしたので、本当に湿気ているのか、「せんべい」と「うまい棒」をキッチンに置いて、開封時から時間が経ったときの含水率を測ってみました。

時刻は15時20分。室温25.4℃、湿度71%(空気中の水分量約14.8g)。

「せんべいA」と「うまい棒A」を開封して実験スタート!

開封したてのせんべいAの含水率は0%。かじるとパリっと音がする

開封時のうまい棒Aの含水率も0%。サクサクと食べられる

 

■せんべいはバリっとせず。一方、うまい棒は…
50分後…。
16時11分、室温24.3℃、湿度65.1%(空気中の水分量約12.6g)。

50分後のせんべいAの含水率は28%に。かじると若干湿気た触感

せんべいAの裏側は含水率32%

 

50分後、空気中の水分が2.2g減っています。せんべいに吸われたのか(ちょっと冗談です)、せんべいAの含水率は28%に増えていました。つまり、湿気ています。

一方、うまい棒は0%のままでした!!

ちなみに、1枚目のせんべいAがもともと湿気ていた可能性もあるので、実験開始から数分後に2枚目(右)のせんべいBを開封し、同じようにキッチンに50分間放置しました。結果は、同じように湿気ていました。

50分後のせんべいBの含水率も20%になっている

ここから分かるのは、湿気の多い低気密低断熱住宅でのおすすめのお菓子は、開封して50分放置されるなら、湿気やすいせんべいより、「うまい棒」が適しているということです。

ただし、さすがのうまい棒も1702分(1時間40分経過すると)には、含水率は15%となり、湿気始めました。

そして、せんべいは47%まで増えていました。

17時01分(1時間40分経過)、うまい棒Aを測定。含水率は15%になっていた

17時01分(1時間40分経過)、せんべいAの含水率は47%まで増えている

 

さらに3時間経過すると、うまい棒は噛みちぎらないと食べられませんでした(ビーフジャーキー状態)。この結論から、低気密低断熱の家では、お菓子を開封した後は賞味期限に関係なく、お早めにお召し上がりください。

テキスト:神長宏明(ラファエル設計)

次回予告
・夏場の湿度は70%越え!
・冬場もカビが生える浴室
・なぜカビが発生するのか原因究明

連載⑦はコチラ

前回の記事:連載⑤「冷房の効きが悪い理由」