【PR】【動画】高断熱・高気密住宅のプランと設計の注意点

鈴木信弘さんは、デザイン性だけではなく断熱性能や耐震性の高い住宅を設計しています。2021年11月に実施されたジャパンホームショー2021・建築知識実務セミナーでは、建物を高断熱・高気密にすることで建物のプランがどう変わるのか、設計の際の注意点について解説いただきました。

暑さ・寒さの差がない=設計の自由度が高くなる!

鈴木信弘(鈴木アトリエ)さんは、GWS工法を採用して高断熱・高気密住宅をつくっています。

GWS工法とは、硝子繊維協会が提唱するグラスウールを用いた工法のこと。外壁面は構造用合板で固め、筋かいを用いないことで、グラスウール(高性能グラスウール)の切欠きによる断熱欠損を減らせるのが特徴です。根太レス工法と併用しており、気流止めの機能も確保しています。

住宅を高断熱・高気密化することによって、温熱環境が快適になるのはもちろんのこと、建物の中での暑い・寒いの差がなくなるので、設計の自由度が増します。

例えば、玄関とリビングを1つの空間としてつないだり、リビングのなかに階段をつくったり、ワンルーム空間の間取りが容易になります。

写真右の壁の後ろが玄関。高断熱・高気密にすれば、玄関とリビングを1つの空間にしても寒くない

リビングのなかに階段をつくった事例。部屋のなかの温度差がない高断熱・高気密住宅ならではのつくりだ

 

防音対策で、より快適な空間に

前述のとおり、高断熱・高気密住宅にすると、部屋を区切らずに済むので大空間が実現しますが、同じ空間で複数人が過ごすと互いの音が気になることも。在宅勤務が普及した今、音問題への対策は必須です。そこで鈴木さんは、“隙間から音が吸収される天井”を研究しています。

E邸」ではシナ合板を下地として、八溝杉の小幅板を勾配なりに横張りしています。西方里見さん(西方設計)が実践されているような、クッション性のあるボードを天井下地として木材をスノコ状に張る方法に比べると高価は小さいのですが、吸音効果はあります。

「E邸」の天井は防音性がありつつ、素材感も強い

このほかにも、吸音マット下地+小断面の木材をレシプロカルに組み合わせた天井など、さまざまな方法を研究しているそうです。

 

「半屋外空間」をつくり、外とつながる家に

GWS工法では上記のようなプランが可能になりますが、自分の好きな空間・環境をつくることも大事。鈴木さんは、完全空調の密室空間のみにならないよう、必ず半屋外空間をつくるようにしているそうです。

例えば、「F邸」は小さな家ですが、奥行き2mのテラスを設け、屋根も深く掛けています。高断熱・高気密住宅に人が閉じ込められ、自然と断絶してしまうことのないよう、工夫しています。

「F邸」のテラス。屋根が掛かっているので、雨の日でも外で過ごせる。ベンチも設けており、外での楽しみ方が広がる

 

アーカイブ動画も公開中!

セミナーの様子は、YouTube「これからの住宅・建築MAPsちゃんねる」で公開しています。記事を読んで内容が気になった方は、ぜひご視聴ください!

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鈴木 信弘[すずき・のぶひろ]
1963年神奈川県横須賀市生まれ。一級建築士。横浜の建築家グループ「area045」会員。’88年神奈川大学大学院修士課程修了後、’96年まで東京工業大学工学部建築学科助手を務める。独立後、横浜市に鈴木アトリエ一級建築士事務所を開設。現在、神奈川大学建築学科非常勤講師。主な著書に『片づけの解剖図鑑』(エクスナレッジ)など